*太陽系外惑星天文学の対象領域や他の分野との関連性などの説明*

318Dome太陽系外惑星天文学入門


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系外惑星とは
太陽系外惑星天文学
系外惑星発見の歴史
惑星に割り当てる記号












系外惑星とは・・・〜太陽系外惑星天文学の導入〜

 太陽系外惑星(以下、系外惑星[Exoplanet])とは、太陽以外の恒星の周りを公転し赤外線を放射する天体のことである。
  •  惑星の定義:惑星とは、恒星が生まれるときに副産物として出来上がる原始惑星系円盤の中で生まれ、そのときに得た回転の勢いを保つかのようにして恒星の周りを公転し、かつ赤外線を放射するが自ら全体が輝くことが出来ない天体のことである。
 英語では「Exoplanet」や「 Extra-solar planet」などと表記される。2008年9月現在で、約240個の系外惑星が発見された。
 筆者を含めてプラネットハンター(Planet Hunter/理論系・観測系)と呼ばれる天文学者(Astronomer)にとっては非常にありがたいことに、観測技術が日進月歩しているため、1995年10月6日にスイスの天文学者が「ペガサス座51番星系外の惑星」を発見して以来立て続けで検出されている。
 水惑星(ハビタブル惑星、海洋惑星)については、観測技術が追い着かない厳しい現状に直面しているため、当分の間理論に頼らざるを得ない。

太陽系外惑星天文学とは

 太陽系外の惑星に関する天文学で、主に観測天文学を基礎としている。但し、理論でももちろん観測で取得した膨大なデータを基にしてさらにプラネットハンティングを行い、惑星を特定・分類する必要がある。この意味で理論も決して欠くことができない。
 また、惑星大気物理学や観測天文学、赤外線天文学を用いることで観測という工程に対しても惑星を発見するための技術が必要不可欠である。この「太陽系外惑星天文学」という名称は本事業の事業名に含まれており、ホットジュピター、ホットネプチューン、スーパーアース、水惑星(ハビタブル惑星、海洋惑星)、などの発見を専門とする。
 惑星の観測手法には、直接法と間接法がある。直接法は直接撮像法、特に間接法には複数の種類があり、ドップラー法、トランジット法、アストロメトリ法、重力レンズ法などが採用されている。

プラネットハンター(Planet Hunter)の役割〜プラネットハンティングは二重にできるだけ厳密に〜

 厳密な定義は無いが、「惑星を探すこと=プラネットハンティング(Planet Hunting)」を専門とする、太陽系内・系外問わず惑星専門の天文学者のこと。観測のみならず理論系のプラネットハンターも世界中に多く存在している。プラネットハンターの観測系・理論系に共通する学問分野は「惑星大気物理学」で、惑星を発見するには先ず、その対象の惑星大気の構造、大気現象などを十分に理解している必要がある。大気を知ることがやがて海洋を知り、地表面の様子を知ることに繋がる。とにかく、惑星を見つけることができていれば「プラネットハンター」であるという解釈である。プラネットハンティングを観測・理論の両面から行うことで、惑星の特定や分類、分析を確実に進めることができる。

◆系外惑星探査の歴史 ― Histroy of Exoplanet explorer

 1930年代後半から太陽以外の恒星の周りを公転する惑星探しへの試みは始まった。1940年代に入り、10数年にわたって恒星のふれによる位置から惑星の存在を検出する「アストロメトリ法」による系外惑星探しが行われた。
1963年にはバーナード星周りに惑星の存在がありそうだと発表され、地球外生命へ期待が高まる中アメリカのドレイクが地球外生命体からのメッセージを電波で受け止めようという発想から「オズマ計画」を立ち上げた。1972年、バーナード星周りの惑星の存在に疑問と批判が出始めた。翌年73年には完全否定する論文が発表された。バーナード星周りの惑星を発見した天文台の観測機器の固有の誤差による「ミス」だった。
アストロメトリ法による観測は困難であると認識される中、当時の天文学者たちは「恒星のふれによる位置ではなく、速度を計測しよう」という発想転換から現在の「ドップラー法」を導き活用されるようになった。
それから、1995年まで特に大きな発見はなく理論研究者から「観測不能」と発表されるなど、悲観的なムードが続いた。


ところが、1995年10月6日、プラネット・ハンターにとっては「寝耳に水」の出来事があった。スイスのミッシェル・マイヨールと・はわずか4.2日で星から0.051AUを公転する巨大ガス惑星を発見したと報告した。ペガサス51番星周りの惑星の視線速度は55m/sで、多くの観測チームは10-15m/sの精度を達成していた。同時に、「恒星の脈動を見ているだけではないか」などクレームが殺到したため、研究者は徹底的に調べ上げたが、恒星の周りを何らかの天体が公転しているとしか考えられないという結論に至り、発表からわずか2週間で世界の研究者が追観測を行うなどして、ようやく「主系列星周りの系外惑星の発見」となった。
この惑星は、星から0.051 AUしか離れていない軌道を公転する「高温の木星」であることから、「ホット・ジュピター」と呼ばれるようになった。

 実際に、系外惑星として認められるようになったのは1999年のHD209458bの観測だった、翌年にはこの惑星はトランジット法でも存在を確認され、系外惑星が実在していることが世界中に知れ渡った。

2000年代に入り、このトランジット法が急速に成果を伸ばし始めた。2009年3月にNASA(米国航空宇宙局)が打ち上げたケプラー衛星では主にトランジット法による宇宙空間からのサーベイが行われており、多様な系外惑星系の姿と発見数が増え始めているハビタブル惑星候補を目の当たりにしている。5,400個以上の惑星候補のデータが存在するといわれ、3500個以上が候補として認められている。

■惑星系と割り当てられる記号

惑星はその惑星系の中で、発見された順に「b」から「z」まで割り振られる。現在のところ多いところで「f」辺りまで 割り振られている。呼び方は「プラネットb」などと呼ぶ。この「b〜z」が必ずしも惑星系の軌道の内側から割り振られているわけでは無いことに注意が必要だ。太陽系の場合、地球は「プラネットd」に相当する。
「a」:惑星系の母星、即ち主星=恒星を示すがほとんど用いられない。


△系外惑星の種類・・・種類は大きく分けて「ホットジュピター」「エキセントリック・ジュピター」「ジャンピング・プラネット」の3つに分けられる。
  1. Hot Jupiter:惑星の大部分を占め、恒星から至近距離内を公転するため高熱状態にある 惑星。例:51Peg b, HD209458 b, 55Cnc b(かに座55番星), 47Uma b(おおぐま座47番星) etc.
  2. Eccentric planet:系外惑星の周回軌道が極端に歪んだ、離心率eが1に近い惑星を示す。灼熱と極寒を繰り返し、生命の存在は当然見込めない。


◎系外惑星の離心率と軌道形


 惑星の軌道形(Orbital form)は離心率eと非常によく関係があり、管理人の私個人は次のような基準で惑星の軌道形を判断している。 独断だが、数学的に通用する基準となっている。

Range Orbital form Notes
0≦e<0.1 円軌道  太陽系もこれに類するが大部分の系外惑星が類する。太陽系内外問わず惑星として一般的。
0.1≦e<0.99 楕円  円軌道に次ぐ多さ。eの値が1に近いほどエキセントリック・プラネットであることを示す。
e=1 放物線  彗星がこの軌道であることは既知だが、系外惑星では発見の報告は入っていない。
1<e 双曲線  発見の報告は入っていない。

▲太陽系惑星との相違点

太陽系の姿:太陽系では太陽に近い順に地球型惑星(水星、金星、地球、火星)、巨大ガス惑星(木星、土星)、巨大氷惑星(天王星、海王星)という8つの惑星たちが 3グループに別れ、引力で互いに引き合いながらほぼ同一平面を公転している。火星と木星の間には小惑星帯、海王星の外側にはカイパーベルトと呼ばれる小天体群が存在している
  •  地球型惑星:中心核である鉄(Fe)のコアを岩石が覆う構造で、比較的小型で太陽系の内側の狭い領域に集結している。その中の一つの「水の惑星(water planet)」と呼ばれる太陽から3番目に近い地球は、太陽からの適切な距離を保ち、適度な放射を受けている為温度条件が整い生命が育まれている。
  •  巨大ガス惑星(木星型惑星):水素(H2)、ヘリウム(He)を主成分として、中心部に地球質量の5〜10倍の氷と石でできたコアがある。
  •  巨大氷惑星:天王星と海王星がこれに属し、巨大ガス惑星に比べかなり軽い。外層部の水素・ヘリウムガスは全体の質量の10〜20%程度しかなく、主成分はコアを占める氷と石である。



太陽系外惑星の種類

ホットジュピター

スーパーアース・ミニネプチューン

ハビタブル惑星

系外地球

海洋惑星

水惑星・水天体

ハビタブルゾーン

 水が天体表面で凍りもせず蒸発もしない、液状で存在することができる星が作り出す温暖な領域。

系外惑星の検出方法

直接撮像法

間接法

ドップラー法

トランジット法

アストロメトリー法

パルサー法

重力レンズ法








参考文献

  • 田村元秀,2015,太陽系外惑星,日本評論社
  • 田村元秀,2014,第2の地球を探せ!「太陽系外惑星天文学」入門,光文社
  • NHKサイエンスZERO取材班+編著田村元秀,2012,地球外生命体を探せ,NHK出版

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